積立型の保険に、長いあいだ入っていました。解約しようとしたとき、初めて、払い込んだ総額と戻ってくる額を並べてみました。もちろん、増えていませんでした。がっかりした、というのとは少し違います。思っていたとおりではありました。ただ、数字で見たのは初めてでした。この経験が、こどもNISAを紹介したいと思ったきっかけです。
投資は怖いと、教わって育った
子どものころから、親に「投資は怖い」「株はギャンブルだ」と教わって育ちました。親族に、実際に株で失敗した人がいたからです。親はそれを間近で見てきました。危ない橋を渡らせたくなかったのだと思います。子どもを守ろうとして、言っていました。
私はそれを、そのまま受け取って大人になりました。お金は、働いて稼ぐもの。それ以外で増やそうとすることは、ギャンブルでしかなく、危険なこと。理屈ではなく、そういう感覚として体に入っていました。大人になっても、その感覚は消えませんでした。
そのうえ、届く場所にもなかった
学生時代は、2000年前後。18歳ごろでした。バイト代は全部、好きなものに使いました。つみたてNISAもiDeCoも、まだありませんでした。ネット証券もほとんどなく、18歳の学生が証券口座を持つような時代ではなかったと思います。投資は、そもそも棚に並んでいませんでした。
あの金の使い方を後悔しているわけではない。ただ、ハードルが高すぎて、選択肢にならなかった。
だから、積立型の保険を選んだ
最初のひとつは、私の年金のつもりでした。リスクが少ないと言われていた、積立型の保険。毎月決まった額を積み立てて、あとで受け取る型です。怖いと教わったものには近づかず、怖くないと言われたものを選びました。これを、10年近く払いました。
そのあと、子どものためにも何かしておきたいと思いました。調べると、学資保険は、加入できる時期を過ぎていました。選べるものは、限られていました。それで、同じ型の保険に、もうひとつ入りました。こちらは、学資保険の代わりのつもりでした。6年ほど、払いました。
保険を選んだことと、投資をしなかったこと。ふたつは、同じ理由から出ています。当時は、がむしゃらに働くだけの毎日で、金融の知識を持つ余裕がありませんでした。
10年近く、一度も総額を計算しなかった
私の入っていた保険は、満期か解約のときまで、払った総額と戻る額を並べる機会が来ない仕組みでした。毎月、口座から引き落とされるだけ。それが10年近くつづきました。
そもそも、増やす目的で入ったわけではありませんでした。あれば使ってしまうお金を、使えない形にして貯める。そのために入ったという認識は、当時から持っていました。
解約しようとして、初めて総額と返戻金を並べた
40歳ごろ、つみたてNISAへ移そうと考えました。そのとき初めて、払い込んだ総額と、戻ってくる返戻金を並べました。増えていませんでした。むしろ、少しだけ下回っていました。ふたつとも、解約しました。
増やすためではなかったから、割り切れた
あれば使っていたお金だと思って、もう割り切った。

そう思えたのは、入るときの認識と同じだったからです。増やす機能は、働きませんでした。けれど、あれば使ってしまうお金を、使えない形にしておく機能は、10年近く働きました。10年近く手元になかったこと自体には、意味があったと思っています。
お金の置き場所には、役割が3つあります。万一に備える。使えない形にして貯める。増やす。備えの保険には、入っていました。貯める保険にも、入っていました。ただ、30代のうちは「お金は自分で働いて稼ぐもの」という思いが強すぎて、「お金にお金を稼がせる」という考えが、頭に全くありませんでした。怖いと教わっていたからだと思います。
なお、金利の環境は、私が入ったころとは変わっています。いまの商品の条件は、いまの資料で確かめてください。そして、もしいま積立型の保険を持っているなら、払い込んだ総額と、いまの価値を、一度計算してみてください。
関連記事:こどもNISAと学資保険、生まれたばかりの子にどっちを選ぶ?
無知は、悪になりうる
いま振り返って思うのは、無知は、悪になりうる、ということです。知らないと、間違った判断を、平気な顔でしてしまいます。私が、そうでした。
私の無知を知ってもらうことで、読んでくれた人に、間違った判断をしてほしくない。それが、これを書いている理由です。
ただ、救いもありました。知識のないうちに、リスクの少ない置き場所に入れておいたおかげで、始めるときに、原資がありました。石橋を叩きながら進んでいたおかげでもあります。怖がっていたことが、間違いだったとは思っていません。
息子は18歳から始めた。これからは0歳から始められる
息子は、18歳からNISAを始めました。
2027年1月からは、「こどもNISA」と呼ばれる、0歳から始められる制度もできます。
私が18歳だったころ、投資は棚に並んでいませんでした。息子が18歳になったときには、並んでいました。そしてこれからは、生まれたその年から、並びます。
投資という選択肢は、いまは、棚に並んでいます。
備えるのか、貯めるのか、増やすのか。使い切らずに残ったお金は、誰のものになるのか。私は、その違いを、分かっていませんでした。これから、ひとつずつ、書いていきます。
※積立型の保険……毎月決まった額を払い込み、受け取りの時期や解約のときに、まとまったお金が戻ってくる型の保険。
※返戻金(へんれいきん)……保険を解約したときなどに、戻ってくるお金。
出典を見る(1本)
- 金融庁 2026年 保険モニタリングレポート(確認日 2026-09-01)
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最終確認日: 2026年9月6日

