こどもNISAを始めるとき、まず不安になるのが、買ったあとに値段が下がったらどうしよう、ということだと思います。この記事では、月5,000円の積立を、リーマンショックの前に値段がいちばん高かった2007年6月末から始めていたらどうなっていたかを見てみます。日本を除く先進国の株式に連動する投資信託で計算すると、そこから2026年8月末までの19年3か月で入れたお金(元本)は115万5,000円で、評価額は約602万円になりました。まっすぐ増えたわけではありません。元本を下回っていた月が52か月あり、いちばん減っていたときは44%減でした。それでも止めずに続けた結果が5.2倍です。リーマンショックの前の2007年に始めた場合の一例で、次も同じとは限りません。下がった年に積立を続けた方がいいのか。この記事の答えは、「続けた方がいい」です。
こどもNISAが値下がりしたとき、何ができて、どうなる?

選べるのは5つです。1. 続ける、2. 積立額を増やす・減らす、3. 銘柄を変える、4. 止める、5. 売る。前の3つは続けながらできること、あとの2つは続けられないときの選び方です。それぞれ、選んだらどうなるかを書きます。
1. 続ける場合。何もしなければ、積立はそのまま続きます。下がった月は、同じ金額で買える口数(投資信託の持ち分の単位)が増えます。この話は、あとの節で数字で見ます。
2. 積立額を増やす、減らす場合。増やせば、下がっている月に口数を多く買えます。減らしても、積立は続けていくことができます。増やせるのは年間投資枠(1年に入れられる上限の金額。年60万円)の内で、入れ方は積立だけです。まとまった額を一度に入れることはできません。その年に使わなかった年間投資枠は、翌年に足せません。
3. 銘柄を変える場合。積み立てる投資信託を途中でほかのものに変えても、それまでに買った分は、そのまま口座に残ります。年間投資枠は、どの投資信託かを問わず、買った金額で数えます。変える手続きは、積立の契約を結んでいる証券会社ごとに決まります。株式市場の全体に幅広く投資するものに変える、という選び方もあります。また、今後伸びていくだろうと思うジャンルに変える、という選択もあります。ただし、ジャンルを絞るほど、値動きの上下は大きくなります。
4. 止める場合。積立が止まった月から、口数は増えなくなります。それまでに買った分は、そのまま口座に残り、こどもNISAの口座も非課税も変わりません。あとで再開すれば、その月からまた口数が増えていきます。
5. 売る場合。売った時点で、その分の損は確定します。売った代金は、こどもNISAの口座と同時に作られる現金の置き場(特定課税未成年者口座)に入り、現金のまま置いておけます。ただし、引き出しの制限(原則、高校を卒業する年の前年12月まで)は、値下がりしても続きます。損が出て元本割れ(入れたお金より減ること)になっても、ほかの口座で出た利益(株や投資信託の売却益など)と相殺して税金を減らすことはできません。
こどもNISAが向かない場合の考え方は、向かない家庭の記事にまとめています。次は、実際にどう動いたかです。
先進国株式の投資信託は、2007年の高値からどう動いた?

今から説明に使うのは、日本を除く先進国の株式に値動きを合わせて運用する投資信託のひとつ、インデックスファンド海外株式です。2007年より前から運用されていて、いまも買えます。新興国の株式は含みません。こどもNISAで買える投資信託は、大人のNISAのつみたて投資枠と同じ基準で選ばれたもので、このような投資信託もその中に入っています。
値段は、月末の基準価額(投資信託の値段)です。分配金は受け取らずに同じ投資信託を買い増したものとして計算し、運用にかかる費用(信託報酬)を引いたあとの数字です。
高値は2007年6月末です。リーマンショック(2008年9月)は、その1年3か月あとに起きました。底は2009年2月末で、高値から6割下がりました。高値の水準に戻ったのは2013年12月末で、高値から6年6か月かかりました。下がって、戻って、伸びた。その全体が、下の図です。
高値の水準に戻ったあと、基準価額は、上がったり下がったりを繰り返しながら、右肩上がりに伸びてきました。戻った月の2013年12月末から2026年8月末までの12年8か月、約13年で5.5倍になりました。ただし、2026年8月末の値がこれまででいちばん高い月末の値なので、どの月を「今」にするかで倍率は動きます。
戻ったあとにも、1割以上下がった局面が4回あります(図の①〜④)。いちばん長くかかったのは①で、2015年5月末から22.7%下がり、戻るまで2年1か月でした。ほかの3回は、いずれも1年2か月以内に戻っています。
年ごとに見ると、2008年から2025年の18年で、増えた年が12年、減った年が6年です。下の表の率は、各年の12月末の値を、前の年の12月末と比べたものです(2026年は8月末まで)。図の①〜④の下落率は、高かった月から低かった月までを比べているので、同じ年でも数字は違います。
| 年 | 騰落率 | 年 | 騰落率 |
|---|---|---|---|
| 2008年 | −55.2% | 2018年 | −11.7% |
| 2009年 | +38.1% | 2019年 | +28.0% |
| 2010年 | −2.3% | 2020年 | +8.4% |
| 2011年 | −9.6% | 2021年 | +37.4% |
| 2012年 | +29.3% | 2022年 | −6.1% |
| 2013年 | +53.1% | 2023年 | +31.5% |
| 2014年 | +22.5% | 2024年 | +33.9% |
| 2015年 | −1.9% | 2025年 | +18.4% |
| 2016年 | +2.3% | 2026年(8月末まで) | +14.5% |
| 2017年 | +17.9% |
2007年の高値の月から積み立てたら、こどもNISAはどうなった?
前提を先に書きます。毎月末に同じ金額でこの投資信託を買い、積立を始める月として、リーマンショックの前に値段がいちばん高かった2007年6月末から、2026年8月末まで231か月続けた、という計算です。運用にかかる費用は基準価額に含まれているので、この計算で引いていないのは税だけです。こどもNISAでは、その税もかかりません。
途中は、元本を下回る月が続きました。2007年11月末から2010年3月末まで、29か月のあいだ下回り続けました。元本をいちばん下回ったのは2009年1月末です。それまでに20か月分、合わせて10万円を積み立てていましたが、評価額は5万5,840円まで下がっていました。44%減です。その後の回復により、2010年4月末には元本を上回りましたが、その後も3回元本を下回り、再び上回り続けるようになったのは2012年9月末からです。231か月のうち、下回っていた月は52か月ありました。ですから、「積立なら必ず大丈夫」とは言えません。金融庁の資料でも、株式と債券に分けて毎月積み立てた場合であっても、保有5年では元本割れになることがあると示されています。
ここで、最初の節に書いた「下がった月は口数が増える」の実際を見ます。同じ5,000円で買える口数は、2007年6月末は2,890口でしたが、底の2009年2月末には7,478口でした。同じ金額で、2.6倍の口数です。値段が戻ったとき、安いときに多く買った口数がそのまま評価額になります。下がった月に積立を続けることの意味は、ここにあります。増えるのは口数で、入れる金額は変わりません。年間投資枠は払った金額で数えるので、評価額(いま売ったらいくらになるかの額)が下がっても、下がった分だけ年間投資枠が空くことはありません。売ったときや払い出したときの年間投資枠の扱いは、引き出し制限の記事にまとめています。
結果はこうです。231か月の元本は115万5,000円。2026年8月末の評価額は約602万円で、費用を引いたあとで5.2倍です。月10,000円なら、元本231万円が約1,203万円で、倍率は同じです。
始める月をずらしても、倍率はほとんど変わりませんでした。高値の2007年6月末から始めた場合が5.210倍、その4か月あとの10月末から始めた場合が5.199倍です。いつ始めるかより、続けたことのほうが効いていました。
下がった年も、こどもNISAの積立を続けた方がいい理由は?

続けた方がいいと思います。
下がったときに積立を止めて売ってしまうと、そのあと値段が戻っても、戻った分は受け取れません。売った時点で損が確定し、こどもNISAは非課税の口座なので、その損をほかの利益と相殺して税金を減らすこともできません。続けていれば、下がった月に多く買った口数が、戻ったときにそのまま評価額になります。
材料は、この記事の数字です。値段がいちばん高かった2007年6月末から月5,000円を続けた場合、元本を下回っていた月が52か月、いちばん減ったときは44%減。それでも19年3か月で、115万5,000円が約602万円、5.2倍になりました。リーマンショックの前の2007年に始めた場合の一例で、次も同じとは限りません。
ただし、これは、株式市場の全体に幅広く投資する投資信託の場合です。この記事で計算に使った先進国の株式のもののほか、全世界の株式に投資するもの(日本を含む世界中の株式にまとめて投資する投資信託。「オルカン」という愛称で呼ばれます)や、全米の株式に投資するものがこれにあたります。特定の業種や、少数の会社に集中する投資信託は、同じようにならない場合があります。値動きが大きいぶん、リターン(増えた分)を大きく狙えるものもありますが、高校を卒業する年になるまで引き出せないお金の置き方としては向いていません。
進学のお金として使う年は決まっているので、そのときに上がっているかどうかは選べません。
それでも、もし大きく下がる年が来ても、私なら積立を止めず、増やせるなら少しでもいいので積立金額を増やす選択をすると思います。
よくある質問
- リーマンショックのあと、戻るまで5年かかったと聞きましたが本当ですか?
-
この記事の投資信託(日本を除く先進国の株式・月末の基準価額)で見ると、高値は2007年6月末で、リーマンショック(2008年9月)より前です。下がり続けたのは1年8か月で、高値の水準に戻ったのは2013年12月末、高値から6年6か月です。底の2009年2月末から数えると4年10か月で、こう数えると「5年」に近くなります。どこを起点にするかで、年数は変わります。
- 下がったまま、高校を卒業する年を迎えたら、売ってしまった方がいいですか?
-
進学のお金として使う予定があるかどうかで変わります。使うなら、下がっていても、使う分は売って引き出すことになります。理由を問わず引き出せるのは、高校を卒業する年の1月1日からです。使う予定がないなら、売らなくて構いません。売る義務も、こどもNISAの口座を閉じる義務もなく、非課税に終わりもありません。その年の1月1日の時点で18歳以上になった年からは、同じこどもNISAの口座がそのまま大人のNISAのつみたて投資枠に変わり、積立を続けられます。
出典を見る(5本)
- 租税特別措置法 第37条の14(2027年1月1日施行版)(確認日 2026-09-07)
- アモーヴァ・アセットマネジメント インデックスファンド海外株式(ヘッジなし)基準価額データ(税引前分配金再投資ベース)(確認日 2026-09-07)/評価額は当サイトで計算
- 金融庁 アクセスFSA 2026年2月号(確認日 2026-09-05)
- 金融庁 つみたて投資枠対象商品(届出一覧 2026年8月31日更新)(確認日 2026-09-07)
- 金融庁 NISA早わかりガイドブック(確認日 2026-09-07)
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最終確認日: 2026年9月8日

